持株会に出資すると奨励金が出たりしてお得に感じますよね。しかしお勧めはしません。
なぜ持株会をお勧めしないのか
なぜ持株会をお勧めしないのか?それは、持株会を通して自社株を継続購入するということは、1社に集中投資をすることと同義だからです。
持株会に資金を割くくらいなら、新NISAやiDecoをフル活用しましょう。
給料をもらう先と投資先を同時に失うという悪夢
持株会の何がいけないか、それは、リスク分散の原則に反するからです。給料をもらう先と投資先が同じでは、万が一の時に多大なダメージを負うことになります。
実例を挙げましょう。以前、山一証券という証券会社がありました。
創業1897年で四大証券のひとつと言われた由緒ある証券会社でしたが、1997年11月に突然自主廃業を発表して世間を驚かせました。
山一証券の従業員は、多くが持株会に加入していたとされています。従業員は皆、会社が破綻することなどあり得ないと思っていたからです。
しかし、山一証券は破綻しました。
現在では投資環境が整っているという事実
また、当時は今ほど個人の投資環境が整ってはいませんでした。
ノーロードで信託報酬が0.1%以下、かつ全世界に投資可能な投資信託が世に出ることなど想像もつかない時代です。
それだけに、持株会を通して自社株を購入する人は多かったのです。
しかし山一証券の破綻によって株は紙クズとなり、多くの従業員は職だけでなく、金融資産をも失うことになったのです。
この件から我々が学ぶべきことは明確です。リスクは分散しろという原則に従い、給料をもらう先と投資先は分けるということです。
27年前と違い、個人の投資環境は劇的に改善されました。
給料をもらうのと同じ会社に集中投資して過大なリスクを負うよりもはるかに良い選択肢がある今、あえて持株会という選択肢を選ぶ理由はないのです。