ご紹介頂いた記事はこちらです。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79506
記事内で対談されている澤上氏も中野氏も、投資家界隈では有名な方々ですが、長期投資を標榜していながら暴落への恐怖心を煽り、自身の運用するアクティブファンドへの誘導を図るあたり、悪質だと思います。
私がなぜ悪質だと思うのか、もう少し掘り下げてみましょう。
なぜ悪質だと思うのか
なぜ悪質だと思うのか、まず大暴落が来る、という予想の根拠が非常に薄弱です。以下に列挙します。
大暴落が来る、という根拠の薄弱さ
対談内で根拠の第一に挙げているのは”過剰流動性”ですが、これは文面からすると世界的な金融緩和による金あまり傾向のことを指していると思われます。
第二に挙げているのが”年金マネーの膨張の限界”ということですが、これがどこのことなのか明確に書かれていません。
少子高齢化という言葉が出て来るので日本のことかなとは思います。欧米では少子高齢化の傾向が出始めてはいるものの、まだ大きな問題になってはいないので。
第三に挙げているのが”金利ゼロの終焉”ですが、これもおそらく日本のことだと思います。(明記はされていません)
アメリカもEUも、政策金利を2022年の半ばから上昇させており、2024年2月の記事の時点で”「金利ゼロ」の世界がいよいよ終わる”という記述に合致するのは日本、ということになります。
つまり、第一の根拠は世界、第二、第三の根拠は日本のことを指していると思われ、整合性が取れていません。
第一の根拠が世界ではなく日本のことを指していたとしても(そんな風には読み取れませんが)つまり日本株が大暴落するという話だとしても、全世界に投資していたら影響は限定的です。(全体の5%程度です)
第二、第三の根拠が世界を指していないのは、上記した通り状況的にあり得ません。
投資初心者の不安を煽って誘導する醜さ
要するに、自分の主張に合致する部分を都合よく組み合わせているだけで、大暴落という煽り文句ありきなのです。
澤上という人は、長期投資を実践した第一人者と言える人です。
その人が扇動的な言葉を使って、新NISAで市場に入って来た投資初心者を食い物にしようとする、とても悲しいことだと思います。